1日目(5/17夜〜5/18)
夜の海峡を越えて——うどんと渓谷と、45年前の記憶


夜9時、神戸港。バイクを積み込み、フェリーの甲板に立つと潮の匂いが鼻をついた。瀬戸内海を夜通し渡り、夜明け前の高松港に上陸。空はまだ紺色で、少し肌が震えた。
まず向かったのは、さぬきのうどん屋さん。


熱々の湯だめうどんをすすった瞬間、「ああ、四国に来たんだな」と体の奥から実感が湧き上がった。旅の始まりは、いつもこういう些細な一口から始まる。
山間の冷気を全身で受けながら走ると、大歩危・小歩危の雄大な渓谷美が目の前に広がった。そして45年ぶりのかずら橋へ。550円を払い、恐々と揺れる橋に一歩踏み出す。足元の隙間から川面が見えるたびに膝が笑った。あの頃の自分は、もっと平気だったはずなのに——などと苦笑いしながら渡り切った。



「45年前は気にもしなかった揺れが、今はこんなにも怖い。それが可笑しくて、ちょっと嬉しくもあった。」
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昼食を抜いてひた走り、日本三大カルストのひとつ、四国カルスト天狗高原へ。



険しい山道を駆け上がった先に広がる草原と空の大きさに、思わず声が出た。自然はいつでも、こちらの想像を軽々と超えてくる。
1日目夜
ライダーハウスという宿に、初めて泊まった夜
初日の宿は「ライダーハウス四万十」。一泊3,300円。ライダーハウスなるものに初めて泊まった。30年前に建てられたというが、コンクリート打ちっぱなしの無骨な土台にアーチ型の銅屋根という外観は、なかなか洒落ている。個室にシャワーとウォシュレットまで完備されており、正直、想像より遥かに快適だった。






翌朝は早起きして四万十川の畔へ。川縁まで下りてみると、鮎やスッポンが悠々と泳いでいる。鳥の声だけが響く静寂の中に身を置いていると、日常の雑音が全部、川の流れに溶けていくようだった。ここに来て良かった、と思った最初の瞬間。
2日目(5/19)
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鯖の刺身と、海に浮かぶ船と、2頭のイルカ
2日目の朝、沈下橋での動画撮影から始まった。橋の中央に立ち、川面を向いてカメラを回す——完全に俳優気分である(笑)。





そのまま一路、四国最南端の足摺岬へ。




展望台で記念写真を撮り、土佐清水市へ移動。ライダーハウスの管理人さんから「ここでしか食べられない」と強く勧められた鯖の刺身定食をいただいた。


「口の中で弾ける弾力性と、噛めば噛むほど旨さが染み出す味わい。例えようがない、という言葉がこれほど正確に当てはまる食べ物があったとは。」
食後は柏島へ。「船が海面に浮いているように見える」という噂の透明度——実際に目にして絶句した。そしてその澄んだ海の中に、2頭のイルカが姿を現してくれた。本当に美しい海だった。


午後は愛媛県に入り、紫電改展示館を見学。資源なき国でありながら世界水準の技術を生み出した先人たちの気概を、実物の機体を前にして静かに感じた。感動とも、敬意とも、胸に来るものがあった。



3日目(5/20)
仁淀川の青と、雨雲との競走
帰路に就きながら、にこ淵へ。仁淀川ブルーの神秘的な青をたたえた滝壺を、しばらく無言で眺めた。言葉より先に、目がその色に吸い込まれる。


その後は天気予報と睨めっこしながら川之江まで走り切り、宿に着いた。翌日の雨が気になる夜だった。
4日目(5/21)帰路
小雨と高屋神社と、無事帰還
朝、目覚めると雨模様。覚悟していたが、ありがたいことに小雨だった。せっかくだからと、眺めの良いインスタスポットとして知られる高屋神社まで足を伸ばした。到着した瞬間、急に雨脚が強くなった——神様のいたずらか、それとも「来るのが遅い」という催促か(笑)。




その後はひたすら高松港へ向かい、ジャンボフェリーで瀬戸内を渡り、雨の神戸港へ無事帰還。4日間、合計約1,000kmの四国ツーリングが幕を閉じた。
旅の振り返り
四国は、走るたびに新しい顔を見せてくれる。
今回の旅を導いてくださったのは、長年の盟友にしてバイクの師匠、南パパさん。彼のガイドがなければ、かずら橋も、鯖の刺身も、柏島のイルカも、すれ違ったままだったかもしれない。本当にありがとうございました。
また必ず来ます。
