待ち続けた5年間
葡萄の苗を植えたのは、もう5年前のことでした。小さな苗木を手に取り、庭の一角に植えた時の気持ちを今でも鮮明に覚えています。「いつか美味しい葡萄が収穫できるだろうか」という期待と不安が入り混じった気持ちでした。
1年目、2年目は根を張ることに専念。3年目、4年目と少しずつ成長を見せてくれましたが、本格的な収穫にはまだ早い段階でした。そして迎えた今年、5年目。ついに「今年こそは!」という確信を持てるまでに育ってくれました。
希望に満ちた春の訪れ
今年の春、葡萄の木に待望の花が咲いた時の喜びは言葉では表現できないほどでした。小さな白い花が房になって咲く様子を見て、「ついにこの時が来た」と胸が躍りました。
毎日のように木の様子を見に行き、花から小さな実へと変化していく過程を楽しみました。緑色の小さな粒が少しずつ大きくなっていく様子は、まさに自然の神秘そのもの。朝の水やりの時間が、一日の中で最も楽しみな時間になっていました。
実りへの期待
花が散り、小さな青い実がつき始めた頃から、収穫への期待はさらに膨らみました。房の形も整い、粒も順調に大きくなっていく様子を見て、「今年の秋には自家製の葡萄でワインでも作ってみようか」なんて夢も膨らませていました。
家族や友人にも「今年はついに葡萄が収穫できそうだよ」と嬉しそうに報告し、みんなで収穫を楽しみにしていました。5年間の苦労が実を結ぶ瞬間が、もうすぐそこまで来ていると思っていました。



梅雨がもたらした試練
しかし、梅雨の時期に入ると状況は一変しました。長雨と高湿度の日が続く中、葡萄の房に異変が現れ始めました。最初は「少し色が変かな?」程度でしたが、日を追うごとに症状は深刻になっていきました。
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葉に黒い斑点が現れ、実にも黒いシミのような症状が広がっていく様子を見て、嫌な予感がしました。急いで調べてみると、それは「黒とう病」という葡萄の代表的な病気でした。



黒とう病との闘い
黒とう病は、高温多湿の梅雨時期に発生しやすい病気で、葡萄栽培者にとっては非常に厄介な存在だということを知りました。一度感染すると、あっという間に全体に広がってしまいます。
必死に対策を調べ、できる限りの処置を試みました:
- 病気にかかった部分の除去
- 風通しを良くするための剪定
- 薬剤散布
しかし、時すでに遅し。梅雨の長雨と湿気は黒とう病にとって絶好の環境で、症状の進行を止めることはできませんでした。



残念な結果、そして学び
結果として、今年の収穫は断念せざるを得ませんでした。5年間待ち続け、ようやく実った希望が、梅雨という自然現象によって打ち砕かれてしまいました。
収穫を楽しみにしていた家族の落胆した顔を見るのが、何よりも辛いものでした。「来年こそは」という言葉も、なんだか空虚に響いてしまいます。
それでも諦めない理由
悔しさと失望感でいっぱいですが、それでも諦めるつもりはありません。なぜなら、この5年間で学んだことがたくさんあるからです:
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植物を育てることの難しさ 天候や病気など、コントロールできない要因がいかに多いかを痛感しました。
自然との向き合い方 人間の思い通りにはいかない自然の力を、改めて実感しました。
継続することの価値 5年間という時間をかけてようやく花が咲いたように、良いことには時間がかかるものです。
来年への決意
今回の経験を糧に、来年に向けて準備を始めています:
- 病気予防の知識習得 黒とう病をはじめとする葡萄の病気について、より深く学んでいます。
- 栽培環境の改善 風通しや水はけなど、病気を予防できる環境づくりに取り組みます。
- 早期対策の準備 梅雨入り前からの予防的な対策を計画しています。
家庭菜園の醍醐味
今回は残念な結果に終わりましたが、これも家庭菜園の醍醐味の一つだと思います。成功もあれば失敗もある。その全てが学びとなり、次への糧となります。
5年目にして初めて直面した本格的な病気との闘い。悔しさはありますが、これでまた一つ、葡萄栽培について学ぶことができました。
今日の毎度あり⤴️
来年こそは、きれいな葡萄の房を収穫できるよう、今から準備を進めています。6年目の挑戦が、きっと実を結ぶと信じています。
同じように家庭菜園で葡萄を育てている方、病気に悩まされている方がいらっしゃいましたら、一緒に頑張りましょう。失敗も含めて、それが家庭菜園の楽しさなのかもしれません。
今年はダメでしたが、葡萄の木はまだ元気です。来年への希望を胸に、今度こそ美味しい葡萄を収穫したいと思います。
早めの予防対策が重要です。梅雨入り前からの定期的な対策が必要ですね。