10/4(日曜日) 天気:晴れ 気温:21℃
山は黙って待っている
人間は変わる。髪も白くなれば、膝も言うことを聞かなくなる。ところが山というものは、こちらがどれほど年を取ろうと、まるで何事もなかったような顔で同じ場所に居続けるのである。
1ヶ月半ぶりの六甲山であった。今年に入って10回目になる。数えてみれば通算659回。よくも飽きもせず登ったものだと自分でも呆れるが、そこは「毎度あり」の人生であるから仕方がない。
4月に来たときは、桜がとうに散って、山肌に新緑のうぶ毛が生えはじめていた。それが半年たった今日は、空がやけに高い。ススキの穂が銀色に光り、風が通り抜けるたびに、ざわざわと夏の名残りを掃いていく。同じ道を歩いているのに、季節が変わると山の貌まで違って見えるのだから、どうにも不思議である。





今日のコースタイムとラップタイム
| 地点 | 到着時刻 | コースタイム(累計) | ラップタイム(区間) | メモ |
|---|---|---|---|---|
| 自宅スタート | 10:05 | 0:00 | − | |
| 高座の滝 | 10:58 | 0:53 | 0:53 | |
| 風吹岩 | 11:34 | 1:29 | 0:36 | |
| 横池 | 11:39 | 1:34 | 0:05 | 睡蓮の池 |
| 雨ヶ峠 | 12:14 | 2:09 | 0:35 | |
| 六甲山最高峰 | 13:24 | 3:19 | 1:10 | 登頂! |
| 竹中肉店 | 14:34 | 4:29 | 1:10 | ミンチカツ&コロッケ |
| 有馬発(さくらやまなみバス) | 15:00 | 4:55 | 0:26 | 下山 |
| 自宅到着 | 16:10 | 6:05 | 1:10 |
総行動時間:6時間5分 / 自宅〜山頂:3時間19分
4/3(654回目)との比較
| 区間 | 4/3 | 今回 | 差 |
|---|---|---|---|
| 自宅→高座の滝 | 0:49 | 0:53 | +4分 |
| 高座の滝→風吹岩 | 0:39 | 0:36 | −3分 |
| 風吹岩→横池 | 0:07 | 0:05 | −2分 |
| 横池→雨ヶ峠 | 0:40 | 0:35 | −5分 |
| 雨ヶ峠→六甲山最高峰 | 1:04(本庄橋経由 0:16+0:48) | 1:10 | +6分 |
| 自宅→六甲山最高峰(累計) | 3:19 | 3:19 | ±0 |
| 高座の滝→雨ヶ峠(ロックガーデン区間) | 1:26 | 1:16 | −10分 |
| 最高峰→竹中肉店 | − | 1:10 | − |
数字は嘘をつかない。
山頂に着いたのは13:24。家を出てから3時間19分である。ブログを読み返してみて、思わず声が出た。4月の記録も、ぴたり3時間19分だったのである。
気温は4月の15℃に対して、今日は21℃。6℃も暖かい山であった。条件がこれだけ違えば、タイムも動くのが道理というものだ。ところが内訳を見ると、前半のロックガーデンから雨ヶ峠までは、4月より10分も速い。これに味をしめて調子に乗ると、雨ヶ峠から先の七曲りで、6分きっちり取り立てられる。前半に貯金を作って、後半に利息をつけて返す。男の借金の返し方も、山の登り方も、結局のところ変わらないようだ。
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もうひとつ、笑ってしまう偶然がある。4月に最高峰へ立ったのは14:34であった。今日の14:34は、竹中肉店のカウンターの前である。同じ時刻に、一方は山頂、一方はコロッケ。人生の優先順位を示すような話ではないか。
下山は終点が違うので、素直には比べられない。ほぼ同じ歩調で降りてきた。
横池は、春と秋で別の顔をしている
4月の横池は、水底が見えぬほどのお玉杓子で黒く埋まっていた。命がひしめいて、騒がしいほどであった。
今日の池は、水面に睡蓮の葉が一面に浮かび、手前の岸には砂地がのぞいていた。春は生まれる者の池、秋は静かに季節が移ってゆく池である。同じ水たまりが、半年でこうも違う顔を見せるのだから、春の定点観測は秋にも立ち寄ってこそ、というものだろう。



雨ヶ峠から最高峰へ


雨ヶ峠から先は、沢の音を聞きながらの道になる。4月には緑が噎せるほど濃かったところに、今日は秋の光が柔らかく差していた。ここから七曲りの登りがはじまるのだが、ここは黙って歩くしかない。足を運ぶうちに息が整い、気がつけば、あれほど遠かった空が近くなっている。山の登りというものは、そういうものである。
山頂は、ススキと空






標柱の前では、ハイカーもサイクリストも、思い思いの顔で記念写真に収まっていた。ススキの向こうで太陽が白くはじけ、足もとには大阪平野が霞んで広がっている。あの無数の屋根の下で、人は毎日せわしなく暮らしているのだなあと、汗を拭きながらぼんやり思った。山の上に立つと、人間は少しだけ詩人になるものである。
山のご褒美は、竹中肉店
【写真:竹中肉店のミンチカツとコロッケ、ビール】
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下山してまっすぐ向かうのは、竹中肉店である。揚げたてのミンチカツとコロッケを紙袋のまま手に持ち、淡麗の缶をぷしゅっと開ける。これを美味いと思えるのは、登った者だけに許された特権であろう。
そのあと有馬の金の湯の前をぶらりと通り、さくらやまなみバスに揺られて、山をおりた。
今日の振り返り
気温が6℃違っても、半年の月日が流れても、山頂までの時間は4月と同じ3時間19分であった。変わりゆく季節のなかで、変わらぬものがひとつあるというのは、悪くない話だ。それが自分の足であるなら、なおさらである。
さて、次はいつの六甲山になるのやら。
